「主体的・対話的で深い学び」の実践

アクティブラーニングの指導手順

TOSSの創立者などで知られる教育者向山洋一先生の考えるアクテイブラーニングの5段階は以下のようです。

1 問題を発見する
2 問題を追求する
3 討論する
4 異なった意見を認める
5 結果をまとめる

1.問題を発見する

「問題」が「追求」や「討論」に値するかを子どもには見極められないため、教師が子どもが図解し、説明したくなる「問い」を提示します。複数答えが出るようなものが望ましいでしょう。意見が分裂・対立した時が、「問題」が生まれる瞬間です。まずは、このような問いの存在を教師が知り、教室で示すことです。
・図解させる ・説明させる ・対立点を整理する ・簡単な討論をさせる ・自分の考えをノートにまとめさせる ・友人の意見を引用させる
などの過程がアクティブラーニングのトレーニングになります。討論を引き起こす「子どもの発見」を埋没させることなく見抜き、取り上げる教師の「問題発見力」が重要となります。

2.問題を追求する

「今まで勉強した方法を使って」考えさせます。今までの学習を元にして考えるので、子どもたちも安心して取り組むことができます。次に黒板に書かせます。ホワイトボードなどを使ってもよいでしょう。「個」の思考から「集団」での思考へと移行します。他の子の考えを見て、その求め方を知りたくなり、思考が深まっていきます。できない子にとっても、黒板の考えを写すことで、自分の考えを持つことができます。

3.討論する

子どもたちに始め方、立ち方、発表の仕方、待ち方、話し方など「討論のスキル」を教えます。初期の段階では、教師の介入がたくさん入り、何とか「指名なし発表」を終える状態が続きますが、できた直後に褒めます。いくつかの発表スキルをとりあげ褒めることで次回からの活動がスムーズになります。発表の内容をとりあげて褒めると、学級全体に波及していきます。

討論を成立させるためには、「問題の答えをほとんどの子がもっていること」が重要な条件です。そのためには、自分の考えをノートに書かせ、教師が確認します。どんな考えでも短くひとりひとりに違う言葉で褒めるのが望ましいです。

ノートに書けない子もいますので、そうした子にじっくり教えてあげることも日常的に必要です。討論の場面以外で、「全員に発表させる」場面を意図的に作るなど繰り返し指導することが大切です。

4.異なった意見を認める

失敗した子どもへの対応が重要です。それが異なる意見を認めることに繋がる場合が多いです。教師はどの子のどんな意見でも認め、褒めます。教師の姿を見て、子どもたちもまた、友達の異なる意見を認めるようになります。
また、向山先生はもっともいいのは「勉強のできる子が間違え」て、「勉強のできない子が正しい」と言う発問であると言っています。多数派が間違える問題の積み重ねが、異なった意見を認める前提を作ります。

5.結果をまとめる

討論だけで終わらず、結果をノートに書かせる時間が必要です。書かせぱなしでは力はつかないので、文章量や工夫しているところなど、必ず個別評定します。

「主体的な学び」の失敗と対策

教室における「主体性」は教師が何もしないで待っていることで育つものではありません。やりがちな失敗をいくつか挙げていきます。

・枠組みが大きすぎる、小さすぎる
学習で示されるテーマの範囲や条件が大きすぎると意欲が湧きません。なんでもよいというのは、知的な楽しさもなければ、どのように手をつければよいのかも曖昧で難しいのです。逆に、テーマが狭すぎると子どもたちの良さが表れにくくなります。適度なテーマの大きさで、条件をクリアしようとする知的好奇心を刺激するようなものが望ましいです。

・ズレがない
子どもが持っている考えと事実に「ズレ」があると、そこから疑問を持ち、主体的に調べようとします。

・選択できない
教師が決めたことだけをやらせていては主体的になりにくいです。自分で学習を対象を選択し、不都合があればそれを回避するための方法も考えさせることが、問題解決的な学習と言えるでしょう。

・試行錯誤がない
様々な意見があるような活動を取り入れることで、グループ活動は活発化します。試行錯誤の保障も主体的な学びを引き出す上で大切です。

・挑戦していない
指示されたことをやるのではなく、どこまでできるのかをスリリングにチャレンジさせる機会を作ることが有効です。

・振り返りがない
体験をさせるだけでは不十分で、新しい知識が何であったかを取り出したり、よい学び方を自覚したりすることが大切です。振り返りをさせ、学んだことを自覚させましょう。

「対話的な学び」の失敗と対策

対話を通して、自らの考えを広げたり、深めたりすることが改訂学習指導要領で求められています。ありがちな失敗をいくつか挙げていきます。

・同じ意見同士の対話
ペアの対話の際、同じ意見ということで対話がすぐに終了してしまった場合、考えを広げたり深めたりできていません。対話させる際は、意見が割れるような問いを工夫しなければなりません。教科の特性に沿った問いを工夫しましょう。

・対話が少ない
発話量を増やすことが目標ではありませんが、発話の少ない子は考えを広げたり深めたりしにくいのが事実です。そのために聞き手を育ていることが重要です。話せる子を聞ける子に育てるように指導しましょう。

・単なる説明
対話の中身を聞くと、片方の子が自分の準備していたことを一方的に説明しているケースがあります。そこで、途中で感想を求めさせたり、反応させたりして、対話のストロークが増えるような技を話し手に指導します。

「深い学び」の失敗と対策

深い学びの視点において大切なのは、カリキュラムの中に、問題を「自分で見つける」「自分で解決していく」ということが組み込まれていることです。また、そこで行われた学びが他者に向けて発信され、交流されているかということです。
・習得が不十分
やっている活動は、活用・探求型なのに、それを支える力が十分に身についていないので学習が空洞化しているケースがあります。そのためには、多領域や他教科、行事までを含めたカリキュラムマネジメントが必要になります。

・関係付けらていない
関連付けられたカリキュラムを作成し、習得→活用→探求のサイクルを明らかにしておかなければなりません。重要なのは、その関連がどのような質の関連であるのかを意識することです。

・学習計画に関わっていない
子どもに活用や探求について発問し、発言を計画に拾い上げていきます。学びを子どもたち自身がデザインするということも深い学びにつながるでしょう。

教育ツーウェイNEXT(学芸みらい社)
日本教育技術学会 静岡大会報告(春日井教育サークル)