楽しさとは

数学的活動の楽しさ

平成10年改訂学習指導要領以来導入されている「楽しさ」という言葉。新学習指導要領でも算数科の目標に「数学的活動の楽しさや数学のよさに気付く」ことが目標の1つとされています。児童が活動の中に楽しさを見出せるような授業をつくることが望まれています。では、この楽しさとはどういうことなのでしょうか。

学習意欲を高めるために

楽しさを味わわせるには、学習意欲を高めることが求められます。学習意欲を高めるには、「意外性」「思い違い」「理解の不確かさ」の3つの状況に目を向けることが有効です。

意外性

意外性とは、「思いがけない驚きや予想外の仕掛けなどがあること」です。例えば、答えが1つと思っていたものが、解いていく過程でいろいろな解き方や答えが出てきたときに味わう心理・認識状況です。つまり、「見えないものが見えたとき」です。
例えば、面積の導入で次の図形をかく問題があります。
 ⑴まわりの長さが16cmの正方形
 ⑵まわりの長さが16cmの長方形
⑴が1通りしかないから⑵も1通りしかないと考えてしまいますが、そうではありません。このような算数・数学的活動は子どもに意外性を感じさせながら、学ぶ楽しさを味わわせていくでしょう。

思い違い

思い違いとは、「実際と違うことを事実と思いこむこと」です。意外性の心情と似ていますが、自分は当然こう思っていたのに本当はそうではないことを知った時の心理状態では、「問題解決」よりは「知識・理解」の獲得場面で生じる心の動きと言えるでしょう。つまり、「無意味なものに意味がついたとき」です。認知面におけるズレの感情で、「おや?」「どうして?」と言った問いを生み出す心の動きです。

理解の不確かさ

理解の不確かさとは、まだわかっていない状態です。その状況から、「できた!」「わかった!」と変容したときには楽しさを感じられることでしょう。つまり、「複雑なものが単純化されたとき」とも言えるでしょう。

楽しさと面白さ

「楽しかった」と「おもしろかった」という言葉は似ていますが、どのような心の動きの違いがあるのでしょうか。
楽しさは、学習対象と一体化したときに感じる感情(統制可能感)であり、(達成できる、自在にコントロールできるという「自己効力感」と似ています。)

面白さは、対象との間の距離によって生じる感情で、ズレの感情(ギャップ)、と言えるでしょう。(お笑いの「フリ・オチ」や「緊張と緩和」でズレを生じさせるのと同様です。)

例えば、今までごちゃごちゃしていた計算過程を別の視点から捉えて関係や法則を見出した場合や、一挙に物事がつかめて爽快感を味わえた場合などに、「楽しさ」や「おもしろさ」を感じとれるのではないでしょうか。
楽しさとは

まとめ

・学習意欲を高める3視点は「意外性」「思い違い」「単純化」

・楽しさ→統制可能感(自己効力感)

・面白さ→ギャップ(ズレ)

<参考>
新学習指導要領等(平成29年3月公示)
・算数教育指導用語辞典