授業規律を確立する方法

授業規律と学力

落ち着いた環境の中で学習することは児童の学力向上を図る上でとても重要です。調査によると、授業中の私語が少なく落ち着いているほど、平均正答率が高くなっていることがわかっています。落ち着いて授業を受けさせるよう、授業規律を確立させることが重要です。平成28年度 児童・生徒の学力向上を図るための調査 報告書(平成28年度11月東京都教育委員会より)

授業規律とは

学習指導における生徒指導の一つに授業規律があります。授業規律は、学習に向かう上での教師と子どもの積極的な態度や行動のルールを意味します。具体的には、授業開始のチャイムが鳴った瞬間に、子どもが席に着いており、机の上は整頓され、準備物が用意されている状態を指します。また、教師の机の上も整理され、掲示物、板書計画、プリント類が準備された状況を指します。授業時間内においても、友達の発表をしっかりと聞くこと、自信を持って発表すること、静かに考えたり作業したりする時間を大切にすることなど、当たり前のことを学級全体で守ることの大切さを、繰り返し伝えることが大切です。

この授業規律の重要性について「生徒指導提要」では次のように述べられています。

学習指導における生徒指導としては、次のような二つの側面が考えられます。一つは、各教科等における学習活動が成立するために、一人一人の児童生徒が落ち着いた雰囲気の元で学習に取り組めるよう、基本的な学習態度の在り方等についての指導を行うことです。もう一つは各教科の学習において、一人一人の児童生徒が、そのねらいの達成に向けて意欲的に学習に取り組めるよう、一人一人を生かした創意工夫ある指導を行うことです。
前者は一人一人の児童生徒の学習場面への適応をいかに測るかといった生徒指導であり、後者は、一人一人の児童生徒の意欲的な学習を促し、本来の各教科等のねらいの達成や進路の保障につながる生徒指導です。
「生徒指導提要」平成22年3月 文部科学省

授業規律を確立するために

落ち着いて学習に取り組めるような授業規律を目指すために大切なことは、東京都教育委員会によると次の4点です。

①児童理解
児童はそれぞれ違った能力があり、活躍できる場所も異なります。また、学校生活への不適応感や不登校傾向を示す児童や、発達障害を含め特別の支援を要する児童もいます。学級担任は、多様な児童がいることを前提に、人間的な触れ合い、きめ細かい観察や面接、保護者との対話を深め、一人一人の児童を客観的かつ総合的に理解していくことが大切です。

②居場所作り
学級は児童が集まって成立しています。一人一人が落ち着いて学ぶことができるようにするためには、一つの型に嵌めこむのではなく、教師が児童と一緒に学習ルールを作り、自らをコントロールできるようにします。どの児童にも居場所を見つけられ、安心して友達と関わることができるような機会を設定する必要があります。

③学習ルールの統一
誰にでも分かりやすい統一した学習ルールがあれば、教師一人一人が自信を持って指導することができます。そのためには、管理職と相談しながら、学校の実態に合うかどうか十分に検討し、全職員が連携して学習ルールを作る必要があります。特に、思春期に入った児童の発達段階では、学級において、社会的自立を目指す主体としての自覚と責任感を高め、社会性の一層の伸長を図ることが重要になります。教師は意図的に自律的なルールを取り入れる工夫が必要です。また、学級通信や学年通信、保護者会や家庭訪問などの保護者との交流する機会を生かし、児童・生徒理解に基づいた指導の在り方について共通理解を深めることも大切です。

④整った学習環境
児童が落ち着いて学べる場を作るためには、教室環境の整備が欠かせません。始業前に「黒板をきれいにしておく」「机をそろえる」「落ちているごみを拾う」など、教室を学習する場として大切にする姿勢を定着させることが大切です。

授業規律の育った学級の共通項目

学習規律の育った学級の共通項目を整理すると以下になります。

1.時間に対して機敏である
45分間の授業の1分たりとも無駄にしない、そして45分以内に終わるという姿勢が重要です。教師の簡潔で明確な指示・提示を心がける必要があります。糊の貼り付け作業などでは、作業時間に個人差が出やすいと思いますが、作業の遅い子どもをしっかりと励まして皆に追いつかせることが大切です。ここで、長い時間を待ったり、できていない子どもを置き去りにすると、その後で、何倍もの時間をかけて補修しなくてはならなくなります。

2.準備物に対して過不足ない
学習が苦手な子どもほど、準備物を忘れてしまったり、落としてしまったりします。それを想定して、作業のスタートラインをしっかりとそろえるための手立てを事前に考えておく必要があります。学習が苦手な子どもはスタートで出遅れ、指示を聞くことができずに最終的に失敗してしまうので、怒るのではなく励ます形でサポートすることが大切です。

<これを用意してから休けいボード>
学習のルールとして、「時間の終わりに次の勉強の準備」を徹底させるためにルールをカードにして黒板に掲示しておきます。具体的には、前の授業の終わりに、ミニホワイトボードに次の授業で必要なものを書いたカードを貼り付けます。子どもは次の授業が始まるまでに、必要なものはこのボードを見てさっと用意してから休けいすることができます。必要なものがはっきりしているので、授業が始まってから「○○を忘れました」と言いに来ることが少なくなります。忘れ物があるときには、あらかじめ言いに来て代わりのものを用意することができ、スムーズに授業に向うことができるでしょう。

3.自分に自信を持ち、友だちに敬意をもつ
自信を持たせるためには、できる・わかるという体験を積ませてあげることです。低学年からしっかりと自信をつけさせてあげてください。また、友だちに敬意をもつには、自分への自信がつくことが不可欠です。自分に自信がつけば気持ちに余裕が生まれ、友達を素直に受け入れる気持ちがわいてきます。

4.話し合いにルールがある
話し合いにルールをもたせることは、自分への自信と友だちへの敬意があれば意外とスムーズに行きます。特に育てたいのは、聞く側の態度です。どうしても一人で言い切ったという状態で終わりがちなので、聞く側にマニュアルなどをもたせ、よかったこと1つ、がんばって欲しいこと1つを返せるようになれば、話し合いの質が高まります。

5.静寂を大切にする
静寂を大切にするということは、子どもが問題などに取り組む際の集中力を持続させるということです。時折、こうした静寂の時間であるにもかかわらず、教師が子どもたちに声をかけてしまうことがあります。集中が切れてしまいますので、まずは教師が静寂の時間を大切にする意識をもつことが大切です。

叱る三原則

褒めて子どもをコントロールするのが理想ですが、褒めてばかりは入られません。子どもたちにどんな時に先生が叱るのかを伝えておくと良いでしょう。
・いじめをしたとき(人が嫌がることをして喜んだり、得しようとしたりしたとき)
・危険なことをしたとき(命が危なくなるようなことをしたとき)
・三度注意しても直そうとしないとき
(野口芳宏流、叱る三原則より)

参考資料

学習規律とは(北海道教育研究所)
学習規律実践事例集(岡山県教育委員会)
学習規律とは(北九州市立学校)
本当は大切だけど,誰も教えてくれない算数授業50のこと(黒田恭史)
東京都教職員研修センター


求められる教師像