教室環境づくり

学校生活の基盤となる学級の環境整備

整った教室環境は児童生徒の生活の落ち着きや心の安定のために大切です。担任教師には、教室環境を常に整備し、物質的にも精神的にも潤いのある学級生活を構築することを念頭に置いて学級経営を行うことが望まれます。
教室環境づくり

教室環境作りの手順

⑴ 学級経営案に教室の経営(教室環境の整備・保全・管理)を盛り込む
学級の経営者として、しっかりとした自身の経営理念を元に、学級経営案に具体策を位置付け、常に意識して教室環境の整備・保全・管理に当たります。

⑵ 学級担任の経営ビジョンや児童生徒の発意・発想を基に教室環境を整える
学級経営案に盛り込んだ具体策に沿って学級活動を展開し、学級の組織を活用して児童生徒ともに機能的で生活しやすい教室環境づくりを進めます。

⑶ 教室環境の保全・管理を適切に行う
日常での教師の点検はもちろんのこと、係活動や当番活動など、学級の組織を生かして児童生徒自らが点検して環境の保全・管理を行うようにします。

【児童生徒に任せられないこと】
①教室の安全点検と修理
②教室の換気、採光、通風、保温、防音、防火の配慮
③机や椅子の体格に合った大きさの調整など
④視力の弱い児童生徒への配慮など、板書の見えやすい座席の設定
⑤学校・学年共通の掲示物(校訓、学校教育目標、学年目標、時間割表、日課表等)

教室環境づくり

⑴ 教室レイアウトの一般例

教室の掲示物は担任の学級経営の理念を反映するものです。その上で教室の前面、側面、背面に適した掲示物や配慮するポイントを押さえましょう。
A. 前面
前面掲示は最小限が原則です。具体的には、学校教育目標と学級目標ぐらいにするのが望ましいです。話型や声の大きさを掲示する学級が見られますが、必要であれば側面に掲示したいです。また、年間通して必要な掲示物なのかを再検討する必要があります。「主体的・対話的で深い学び」を目指す学習では、できるだけ早い段階で、形式的な話法からの脱却を図りたいところです。
・正面黒板
・時間割表
・校訓や集団目標、目指す児童生徒像など
・学校・学年共通の掲示、学級全体の成果物など
・学級の備品や消耗品など

B. 側面
側面には配布プリントを掲示するのが適しています。その際に標題をつけるとともに、台紙の色使いに配慮する必要があります。赤色や黄色は避け、教室環境として適する落ち着いた色やベージュ系統の色合いのものを意図的に使用しましょう。
・学校だより、学年・学級通信
・学級新聞、児童生徒の学習成果物
・児童生徒の個人目標
・班目標など

C. 背面
子どもが主体となる活動を促す教師の姿勢が大切になります。また、子どもの自己評価を重視する活動を展開することも大切です。月ごとに立てた目標は月末には振り返り、子ども自身が自己評価できるように指導しましょう。学期はじめに立てた目標は達成に向けて、少なくとも月程度の振り返りができるように学級に指導したいです。
・背面黒板
・ロッカー
・学級文庫、飼育栽培
・係・当番活動などのお知らせ
・学級活動コーナー
・清掃用具

⑵ 教室内の設備・備品の保全・管理(一般例)

① 正面黒板
教室の顔。授業前後のクリーニングを児童生徒の手でしっかり行わせます。授業の板書の妨げにならないように緊急性・重要性の高い連絡がある場合のみ端に記します。黒板に様々なプリント類を貼ったまま授業を行う教師も見られますが、授業に関するもの以外は何も貼らないこと、きれいに消した状態で授業に入ること、黒板の下もきれいにして授業を行うことを改めて確認しましょう。

② 背面黒板
背面黒板は「学級生活のノート」です。子どもが主体となって活動する学級会コーナーや、係からのお知らせコーナーを設けたり、様式を統一して授業連絡等に使用してたりしている場合が多いです。記入の仕方を決めてしっかりと学習内容等の連絡事項が全員に通じるように具体的に記入させます。

③ 教卓・教師用机
机上には基本的には何も置きません。教師の持つ指導書類や資料が使いやすいようにします。整理された状態を保ち、児童生徒に範を示します。日頃から整理整頓を心がけることが学力向上の第一歩です。

④ 児童生徒用机・椅子
常に点検と保全・管理に努める。本人による破損や落書き等があれば、当該児童生徒に直させます。学習に必要なものの整理整頓は学習活動の基盤です。休み時間中に次の授業の用意をする習慣をつけることも大切な環境づくりの1つです。

⑤ ロッカー
紛失や盗難を予防するため、全児童生徒が共通に持っている物のみ収納します。使い方の原則を決めておくとよいでしょう。貴重品などは別に保管します。

⑥ 清掃用具入れ
ほうき、ちりとり、バケツなどの清掃用具は、番号をふるなどして用具入れの決められた場所に収納します。適切に指導を重ね、清掃終了後の整理整頓をしっかり行わせます。

⑦ ガラス窓
常にきれいな状態を保つ。水で湿らせた布や新聞紙などで拭き取ると効果的です。
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⑶-1 掲示物【常設掲示例】

①目標
学校教育目標、学年目標、学級目標、班目標、個人目標、生活目標など
児童に目標を意識させましょう。そのためにも、常に視線に入る教室の前方は目標を掲げるのに向いているでしょう。
個人目標は教師のコメントだけでなく、

②学校生活を送る上で必要な掲示
・日課表 ・時間割表 ・係活動分担表 ・給食当番表 ・清掃当番表 ・清掃分担表 ・生活班名簿 ・学級新聞 ・通信物 ・児童生徒の成果物
<ポイント>
・教育目標の類は格調高く正面に
・児童生徒が立てる学級目標など色彩豊かに作成したものは、発達障害を持つ子にとって刺激が強いことがあるので、実態に応じて側面や背面の掲示も考えます。
・児童生徒の視線・動線上に必要な情報を
・タイトル・見出し・名札を添えて
学級経営の基盤は競争の原理ではなく、協働の原理に基づく意欲喚起を目指すことにあります。掲示物は担任の学級経営の理念を反映することを心にとめましょう。

⑶-2 掲示物【コーナー掲示例】

時期や期限が過ぎたものは直ちに更新します。
①学級活動コーナー
②学習コーナー
学級全員の学習成果をただ掲示するのではなく、年間を通して意図的、計画的に、各教科の学習の軌跡として掲示することを心がけましょう。「今週の漢字」など来校した保護者が学習状況を確認しやすいことも意識すると良いでしょう。
③作品コーナー
児童が学習のまとめや報告を掲示する際、それに対する考えや感想を出し合ったり、伝えあったり、情報交換する場として活用します。付箋やカードを用意して相互評価することも効果的でしょう。それにより児童同士で主体的に学習に取り組み、学び合うことができます。また、子どもの作品には、教師の評価(コメント等)だけでなく自己評価も添付し、子どもたちの良さを認める評価に取り組ませたいです。この評価は習字や絵画の作品でも同じです。
④図書コーナー
学級文庫を充実させることで読書の習慣を身につけさせます。本は、児童の発達段階に即した本を選定し、市町村の図書館などとも連携を取り合いながら充実することが考えられます。
⑤その他
児童がすぐ使えるように辞書を常備したり、自由に使えるマーカーを用意したりすることで、主体的な学習を支援します。連絡帳で知らせる内容は移動できるホワイトボードなどに書き、教室の背面等に貼るようにしておくと、書き残しておきたい場合も授業の妨げになりません。

<ポイント>
・児童生徒の学習の成果物は全員同じ(単元・題材等)を掲示し、必ず教師のコメントを入れる
・各種コーナーの管理・運営は児童生徒に任せる
・来校する保護者にとって学習状況が把握しやすいと、学習指導への理解と協力が得やすくなることに繋がる
・廊下の掲示を学年で統一するなどして一体感を醸し出すことは大切
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⑷ 栽培・飼育(一般例)

①花瓶、鉢植えなどの生花(教室の美化として)
②植物の栽培・動物の飼育(教科等の学習の一環として)
学習中の単元に関する実験器具や、観察に必要なものを丁寧に並べてすぐに実験・観察できるように工夫すると、学習に積極的に取り組む効果が期待できます。
<ポイント>
・生き物の管理は児童生徒とともに、安全・衛生に十分な配慮を

⑸新学期の注意点

①教室の掃除
机や椅子、ロッカーなどの拭き掃除をします。窓の周りには埃がたまっています。
②水回りの確認
蛇口が下向きになっているか確認します。使用する前に、2〜3分程水を流し、汚れなどを流しておきます。
③座席表
久しぶりの登校でも自分の席はどこなのかがわかるように、教室のも立つところに示しておきます。
教室環境づくり

まとめ

教室環境は、子どもたちの学級生活を大きく左右します。学級には発達障害のある子ども、視力に課題のある子ども、学習の定着が十分でない子ども等、様々な子どもたちが存在するのが現状です。学習の場であり、生活の場である教室環境はしっかりと計画・作成・点検し、常に更新と改善ができるようにしたいです。

埼玉県教育局 潤いのある教室環境づくりより
求められる教師像