小学校におけるカリキュラムマネジメント

カリキュラム・マネジメントとは

小学校におけるカリキュラムマネジメント
新学習指導要領のキーワードの1つである「カリキュラム・マネジメント」。これからは、学級担任も積極的にマネジメントに拘らなければなりません。カリキュラムマネジメントとは、学校の教育目標をよりよく達成するために、カリキュラムの創造、見直しを図理、それを実行してよりよく変えていくことです。

定義
カリキュラム・マネジメントとは、学校の教育目標の実現に向けて、子どもや地域の実態を踏まえ、教育課程(カリキュラム)を編成・実施・評価し、改善を図る一連のサイクルを計画的・組織的に推進していくことであり、また、そのための条件づくり・整備である。 それは、学校経営の営みにおいて中核に位置付くものである。〜カリキュラムマネジメントハンドブック(田村知子)より〜
新学習指導要領では、資質・能力(言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力)の育成が求められています。教科学習内容とともに、どのような資質・能力を育むのかを考えたカリキュラムを組み立てる必要があります。

これまでのカリキュラム・マネジメントとの違い

教科書にしたがって同じことを教えていると、全国で一定の教育の質が保たれるというメリットがあります。しかし、それぞれの学校の子どもや地域の実態に合った授業になっていません。論点整理では、これからのカリキュラム・マネジメントの三つの側面として、
1.教科横断的な視点
2.PDCAサイクルの確立(教育内容の質の向上)
3.人的・物的資源等の効果的な活用

を挙げています。
今回の改訂で、教育課程全体を通した教科横断的な教育活動の改善や、学校全体を通じて教科等や学年を越えた組織運営の改善を実施していくことを求めています。

①各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
②教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。
3 教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。
〜これからのカリキュラム・マネジメントの三つの側面」(論点整理 p22)〜
これまでは長く、教科書に記された内容配列や時間配分でカリキュラムが作られ、教師は1時間の授業づくりに追われていました。しかし、単元全体を通した指導案を教師自らデザインしていくことにより、どの時間に徹底して思考力・判断力・表現力を働かせる授業を行うのかといったことを考えることができます。また、指導と評価の一体化を図ることにもなります。さらに、1時間の指導案を考える必要がなくなったことから生じた時間を使い、教師は子どもたちが単元を通じて追求したくなるような問いを考えていきます。

カリキュラム・マネジメントの手順

学校のグランドデザイン

出発点になるのは、学校教育目標や重点目標です。これまでは学校教育目標がなんであろうと関係なく、教科書通りに授業が進められていましたが、これからは地域や子どもの実態を見ながら、小学校6年間でどのような子どもに育てたいかを具体的に表現する必要があります。場合によっては学校目標を変える必要のある学校もあるかもしれません。その際は、教師全員参加で話し合って決めるとよいでしょう。また、新学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」が求められています。出来上がったら、保護者や地域の人たちにも見せて、今年度学校が行おうとしている教育活動を知ってもらうべきでしょう。
<中央教育審議会答申に示されている6つの柱>
①何ができるようになるか
②何が身についたか
③子どもの発達をどのように支援するか
④何を学ぶか
⑤どのように学ぶか
⑥実施するために何が必要か
小学校におけるカリキュラムマネジメント

各教科のグランドデザイン

カリキュラム・マネジメントで求められるのは小学校6年間で育てるという発想です。6年間でどんな資質・能力を育成するのかを学校全体で考え整理し、教師全員で共有する必要があります。
小学校におけるカリキュラムマネジメント

各教科の年間指導計画

明らかにした育む資質・能力を考慮しながら各教科の年間指導計画を整理します。単元の配列については、教科書の中の掲載順にとらわれる必要はありません。どのような力を育むために、何をいつ学ぶのかを考えながら整理していく必要があります。この時、教科の内容の横断ではなく、資質・能力の育成について教科等横断的に単元を整理します。
小学校におけるカリキュラムマネジメント

各教科の単元指導案

単元全体を見通し、評価観点・規準・方法、学習活動、留意事項を整理した単元指導案を作成します。各単元で評価の観点が多くなりすぎないようにすることで、1時間1観点に絞るようにするとよいでしょう。教師が単元の流れを理解して実践するだけではなく、それを子どもたちにも伝え、見通しをもって学べるようにできるとなおよいでしょう。
単元内の各授業で深めるポイントの重点化を図ります。単元内で軽重をつけることによって授業が簡潔になり、子どもたちにとっても、問いと答えが明確になり、わかりやすいものとなります。シンプルな学習活動がつくれれば、その教科が苦手な子も前に出て発言する場面が作れ、その発言を契機にさらに多様な意見が出て学びが深められるでしょう。
小学校におけるカリキュラムマネジメント

まとめ

これまでカリキュラムを考えるのは管理職の役目でしたが、これからは教師全員参加で話し合い、共有して行くことが求められています。学校全体で考え、それを基に授業を行い、成果を評価し、授業改善につなげたり、やってみてうまくいかなかったことはカリキュラムを変えたりしていくことがカリキュラム・マネジメントの全体像です。
小学校におけるカリキュラムマネジメント

参考

カリキュラム・マネジメントの重要性(文部科学省)
教員研修の企画・運営ガイド(岐阜大学 田村研究室)
アクティブ・ラーニングの視点からの授業づくり(奈良県教育センター)
カリキュラム・マネジメント(新潟県立教育センター)
いい学校の創り方(奈良教育大学 赤沢研究室)
教育技術.net