机間指導のポイント

机間指導のねらい

算数指導では「思考力・判断力・表現力」が3本柱として言われています。たくさん話した方が良い、たくさん書いた方が良い、たくさん表現した方が良い。しかし、問題も解けないのにこれらを行うのは無理な話です。ある程度問題を見て解く力が必要です。そのために自力解決が大切です。その自力解決の支援として求められるのが「机間指導」です。

子ども全体の進行の様子を把握する。
子どもの学習状況が、学習のねらいを実現しているか観察します。多くの子どもが困っていて、問題解決が進まない場合は止めて、一斉指導に戻します。課題の確認をしたり、見通しを話し合ったりします。

子ども一人ひとりの実態を把握・評価して、支援・指導する。
子ども一人ひとりの考えなどを理解し学習内容を評価し、個に応じた指導をします。評価と支援・指導は即時に行います。

子どもの考え方をつかむ。
おおまかに、正答と誤答の割合をつかみます。正当の場合でも、多様な考え方の種類と割合をつかみます。

その後の授業展開の修正を考える。
子どもの様子から、指示した内容や活動が適切であるか判断し、授業の改善に役立てます。
机間指導のポイント
「豊かな子ども理解」に基づく机間指導
躓きやすい子、自分から進んで取り組みにくい子、気がかりな子の学習意欲を高めるための働きかけで、個別指導に重点を置いたものです。

「深い教材理解」に基づく机間指導
学習方法の定着や学習の進み具合、教材に対する理解度等を確認し、学級全体の学習の様子確認に重点を置いたものです。

机間指導のポイント

回るスピードを速くする
机間指導では、全員のノートを見ることは大切ですが、軽重をつけます。全体としての傾向を見ながら授業を進めていくときには、全員を詳しく見なくともよいわけです。ノートをサッと見るだけなら、1秒でも十分です。一人の子に対する個別指導は多くても30秒以内。ヒントをそっと話さえすればできる子も多いでしょう。また、机間指導の際、立った状態で上から話すのと、ちょっとかがんで同じ目線で話すのでは、惹きつけ度が違います。限られた時間の中で毎回やるのは難しいので、たまにやるのが効果的でしょう。また、子どもの思考を妨げたり、中断させたりするような指導は避けます。

見る観点を絞る
子どもの思考のどの部分を見たいか視点を決めておき、計画的に回ると良いでしょう。また、誰を特に見たいかを明確にします。具体的に働き掛け、言葉を交わしてこそ、生徒の考えを広げ、深めることができ、生徒から新たな発見が得られます。例えば、「全員筆算を書いているか」「全員○×を書いているか」「全員理由を一行でも書いているか」などに限定して見るのです。全てを見ようとすると、逆に漠然としか見られなくなってしまいます。慣れてきたら少しずつ見る観点を増やしていきましょう。また、見る観点の内容を高度なものにします。例えば「いくつ書けているのか」「どんな内容を書く傾向にあるのか」などです。机間指導は、少しずつレベルがあがります。決してあきらめないことです。
回るコースを決めておく
限られた時間ですから、机間指導のコースも決めておく必要があります。最初から気になる子どもに個別指導に入るのではなく、机間指導をしながらその子に向かっていきます。机間指導は、効率よく進めることが大切です。特定の子どもに掛かりきりにならず、クラス全体への目配りを忘れないようにしましょう。
机間指導のポイント
1時間に1回は机間指導をする
課題を与えたら、必ず評価しなければなりません。子どもに力がつきません。授業では、必ず教科書やノートに書かせる場面があります。そのときに書かせながら机間指導を行い、評価評定を行います。指導と評価につながりができれ、子どもの学力は今以上にあがります。もちろん評価の観点は、シンプルであることが望ましいです。

赤鉛筆指導は、子どもの背中越しに行う
赤鉛筆(ペン)指導はその子の背中越しに行い、子どもたちとのふれあいを大切にします。また、その上を子どもがなぞったときに赤鉛筆で書いた線が消えてしまうほど薄く書くことで、教師の教えた跡を消します。練習しなければできませんが、ぜひ練習してマスターしてください。
机間指導のポイント
ノートを見せる指導を行う
机間指導で困るのは、子どもが自分の書いたノートを隠すようにする行為です。机間指導が効率的に進みません。
もしそのような現象が起きているのであれば、間違いは成長する上で大切なことを話します。

一斉指導に有効にフィードバックする
机間指導では、一人ひとりの良い点を見ることもできます。良い取組を全員の前で取り上げ、全体の指導に活かすことで、取り上げられた子どもは 認められたと実感できるでしょう。また、指名の順序を考える場合には,貴重な情報源となります。

かすかな変化を見逃さずほめる
子どもは日々成長しています。教師の授業に応えようと、ノートに一生懸命書きます。ですから教師は子どもたちのかすかな成長を見逃さずほめることです。言葉でほめるだけがほめることではありません。驚いた表情で、笑顔で、視線で、頭をなでて、背中をなでて、背中を軽く叩いて、肩を軽く叩いてなど、たくさんあります。

机間指導における関わり方

寄り添う

指導・助言
つまずきがある場合、既習内容に立ち返らせて、適切な指導・助言を与えます。あらかじめつまずきを想定し、対処法を考えておくと効率的です。

ほめる
「この考えは素晴らしいよ」などと声掛けをすることで、先生に認められて、自信が生まれます。発言しない生徒も発言で
きるようになります。

つなげる

思考の深まり
子ども個々の考えをいかしながら、関連付ける手立てを与え、思考をつなげて深めます。特にグループ学習では、教師のファシリテーターとしての役割は重要となります。

コミュニケーション
主体は生徒です。生徒同士の助け合い・話合いを促します。 結果的に互いの良さを生徒同士で気付くことができます。

つぶやく

ポイントづくり
「これは~という意味かな?その考えは参考になるね」周りに聞こえるように意識してつぶやいたことが、子どもの気付きにつながったり、話合いの視点となったりします。

刺激
思考を促したり、情報共有を促すきっかけとなります。また、気付きや考え方を広げることにつながります。

いかす

机間指導によって把握した児童の考えを一斉指導の際にいかします。

評価

机間指導により、子どもの学習活動を多面的に評価することができます。観点別評価、指導過程の修正に役立てることができます。

改善

観察・指導から、生徒の多様な発想・考えを見つけるとともに、課題に対する反応や理解度の実態を把握し、授業の組立てに役立てます。

○つけ机間指導

問題解決している子ども一人ひとりに対して教師が回る出前方式で○つけをしていく個に応じた指導法です。
3分間で40名の子どもに対して教室を一周することを目標とします。
<○つけ法の基本方針>
・全員に○をつける。
・部分肯定の精神
・即時評価・即時指導
・教卓ではなく机間指導でする

問題ができた人に持って来させる教員が多いですが、裏を返せば「できてない人は持ってくるな」ということになります。出来ていない子に声をかけて欲しいです。

<○つけ法のポイント>
わかる、できる喜びを与える
・スピード5秒、15秒の法則(訓練すれば早くなる)
・正確性
・声かけ(部分肯定の精神で)
・実態把握
・判断(9割の子どもが見通しを持った時点で回るようにする)
・次の指示

学習の邪魔にならないよう、声は大き過ぎず、小さ過ぎず。他の児童に指導する声が耳に入ることによる波及効果も期待できます。

マルつけを楽しく

マルに一言添えるのは大変です。言葉ではなく、イラストを添えるのもよいでしょう。
(・ ・)(・_・)(・V・)(・へ・)(>_<)(^v^)(・v<)(´u`) 記号や手足をつけたりしても面白いです。赤いペンで描くので、赤いものも良いかもしれません。マークは簡単なものよりも自分が好きなものにした方が愛着もわき、描くのも楽しくなります。子ども達のためでもありますが、教師自身のモチベーションを上げるためにもなります。

誤学習

机間指導のポイント
児童がつまずいている状態にも段階があります。
①未学習:全く経験がなく、何をどうしていいかわからない状態
②不足学習:経験が少なくて、まだうまくできない状態
③誤学習:間違ったやり方が身に付いた状態
④過剰学習:誤学習がこだわりまでになってしまった状態

①②の状態を放置したまま学習を進めると③④になります。児童の状況を把握し、
・未学習・不足学習のスキルを明らかにし、最初に教える
・その場面でどうすればいいのかモデルを示す
・評価を分かりやすくし、褒める
など正しいモデルを基に成功体験を積み重ねることが基本となります。

最後に

授業は子どもの学びを支援するものです。子どもの間に入って学びの様子を見取り、支援することが大切です。机間指導では、子ども一人ひとりの活動を見取ることにより、どんなところでつまずいているのかということが分かります。一人ひとりの課題や、クラス全体の課題の傾向を知り、個に応じた指導を随時行うことができるでしょう。

参考
机間指導の仕方(神奈川県立総合教育センター)
「机間指導」の機能と時間的制約(TOSSランド)