授業中における教師の指名

指名の仕方

子どもが考える授業にするには授業を展開していく上で、子どもに発言させる「指名」は重要です。指名する際の注意点は以下のようになります。

  • 指名した子どもとのやりとりで終わらせず、答えを全員に返す
  • 全員に満遍なく指名する
  • 全員に考えさせた後、一人を指名して答えさせるようにする

こうすることで、全員が指名されたときに備えて真剣に考えるので、2人目、3人目と指名し、答えを絡ませることができます。また、全員に考えさせるためには、ノートに回答や意見を書かせた後に指名して答えさせたり、ハンドサインで頭の中の進捗状況を合図させるのも有効でしょう。
先に名前を呼んでからの発問は子どもが安心して答えられ授業を受けやすくなる効果もあるので、必要に応じて使い分けましょう。
授業中における教師の指名

指名の型

授業中における指名の方法は、学習のねらいや活動によっていくつかのパターンを使い分ける必要があります。基本形の限界と課題を踏まえ、様々な方法を授業の中で組み合わせ活用することが必要となります。

挙手指名

挙手させて指名する。発言機会が子ども自身に委ねられる日本では一般的な方法です。
■メリット
・発言意欲への対応ができる(意欲づけ)
・意欲の評価をしやすい
■デメリット
・授業リズムが崩れる
・発言する子が限定されがち
・マンネリ化しがち

偶発指名

じゃんけんやさいころ、出席番号などでランダムでの指名。
■メリット
・教師主導なため、子ども一人ひとりに緊張感が生まれる
・ゲーム感覚がある

■デメリット
・話し合いを深める工夫が必要となる
・子どもの発言意欲に対応できない

順番指名

縦列や横列による指名。前時の復習や答え合わせ、簡単な質問、逆に誰も答えられないような難問に置いてこの順番指名を活用します。安心感を与えるため、わからない場合はパスを認めると良いでしょう。
■メリット
・どの子にも発言の機会を保障できる
・教師主導なため、子ども一人ひとりに緊張感が生まれる
・順番にあたるので、子どもは覚悟や準備ができる
・連帯感や仲間意識が生まれる
■デメリット
・話し合いを深める工夫が必要となる
・子どもの発言意欲に対応できない

意図的指名

ノートの記述や子どもの表情、理解度をもとにした指名。この指名が授業を構成する上での骨格をなすものです。前時までの様子(意見の流れなど)、机間指導(ノートやつぶやきなど)によって、子どもの意見や理解度を把握した上で行います。授業のねらいと結びつけ、意見に価値づけ・意味づけすることが重要となります。該当の子どもが当てられて良かったと思えるように展開することも必要です。意見を言いたくても勇気がなくて言えない子もいます。その子は指先や目など、必ず体の一部が反応します。見つけたらこちらから指名して発言できたら褒めてあげましょう。
■メリット
・複数の子を同時に指名し、順番に発表させて答えに繋がりをもたせることができる
・異なる意見を取り上げ、対比をもとに授業を構成することができる
・発言による話し合いを深めたり広げたりすることができる
・埋もれがちな少数意見も拾うことができる
■デメリット
・個々の考えや理解度の把握、教師の学習過程の構想が明確であることが必要
・発言者が偏らないよう意識することも必要

起立指名

発問に対する自分の意見が持てた子を、挙手ではなく起立をさせる方法です。手をあげるのではなく、起立するとより目立ちます。起立した子は起立した子同士で意見の確認や座っている子に対するヒントを出しても可とします。
■メリット
・挙手指名よりも自分の意見を持ちやすい
・意見を持っている・持っていないがわかりやすい
・友だちを応援する姿勢が生まれやすい
■デメリット
・騒がしくなりやすい
・時間がかかる

立場指名

発言のあった意見に対して必ず(イエスorノー)の立場を明らかにする方法です。数名の子の立場や考えにこだわる場を設定し、みんなで分かち合います。
■メリット
・全員が考えざるを得ない状況をつくれる
・同じ立場や考えになった者同士での相談(グループ活動)に繋げられる
■デメリット
・時間がかかる
・理由など個々の考えを聞くことはできない

グループ指名

班(グループ)を指名することによって、班内の話し合いを導き発表させます。
■メリット
・子ども同士の関わり合いを育む(対話的協働学習)
■デメリット
・学習規律の徹底が必要
・子どもに話し合う力、意見をまとめる力が必要
・時間がかかる

相互指名

発表した子が次の発表者を指名する方法。児童主体の授業を行うのによく取り入れられています。
■メリット
・子ども同士の関わり合いを育むことができる
・成立すれば児童主体の理想的な授業
■デメリット
・教師が学習の方向をコントロールしにくい(介入タイミング)
・授業の流れを把握できない集団の場合、授業が成立しなくなる場合もある
・教師の指導が必要な部分を考慮して進める必要がある

自由発言

指名なしで自由に発言させる方法。たくさんの答えや気づきがある際に有効です。
グアテマラの学校の多くはこの方法です。
■メリット
・発言意欲への対応ができる(意欲づけ)
・時間の短縮となる(授業リズム)
■デメリット
・意見を整理して授業を構成していく教師の力量が必要
・声の大きい(発言力のある)子どもの意見が引っ張られがち
・学習規律が低下し(騒がしくなり)がち

まとめ

「指名」には,授業を組み立てる役割があります。 全員参加に向けたよりよい授業の流れをつくるために、それぞれの長所を組み合わせて意図的にバランスよく「指名」を使い分けることが必要です。また、子どものつまずきや進捗を予想し、見通しを持った指導や子どもの性格や背景に応じて褒め方を変えるなどの個に応じた指導も大切です。児童の実態をしっかりと把握した上で、本時のねらいにあった指名方法で授業を展開していくことが求められていくでしょう。
授業中における教師の指名
<参考資料>
授業中における指名の方法(Edupedia)
授業中における指名の方法(個人ブログ)
授業における教師の「指名」について、笠岡市教育委員会