小学校でのノート指導のポイント

ノートは思考の土台

ノートは、思考力・判断力・表現力を高める学習活動に欠くことができないものです。めあてをつかむ・課題を解決していく・振り返る等各段階で活用されます。
子どもにきれいなノートを作らせるのが目的ではありません。子どものノートづくりに取り組むためには、教師は事前に授業を構想し、具体的な授業場面を想定した指導の流れを明らかにしなければなりません。日々の取組が教師の子どもの見方を伸ばし、個に応じた適切な指導につながります。
小学校でのノート指導のポイント

学習のためのノートの機能

<子どもの立場から>
1 技能習得(練習)機能 《技能》
・計算練習や漢字練習等、繰り返して練習します

2 整理・保存機能 《知識・理解》
・調べたこと、わかったこと、感じたことを整理して残すとともに、書くことで自分の考えを明確にできます
・板書をきちんと(ていねいに)写します
・復習時の参考書やその後の学習を進める上での資料として活用できます

3 探究(思考)機能 《思考・判断・表現》
・自分で何が重要なのかを見極め、書きながら考え、考えながら書くことにより深めます

4 振り返り機能 《関心・意欲・態度》
・学習の流れ等を振り返り、大切な学習内容を確認します
・既習事項を振り返り、次の学習に役立てます

<教師の立場から>
・子どもの学習状況を把握し、きめ細かな学習を進めることができます
・予習や復習等と関連させて、子どもの学習習慣を改善できます
・子どもとの良好な人間関係の構築に役立てることができます
小学校でのノート指導のポイント

ノート指導のポイント

授業の流れ(学習過程)をふまえて、自らの思考の流れがわかるように書かせます。教えてもらったこと、考えたこと、調べたこと、練習したこと等を学習記録として残していきます。

【基本的な記入する項目】
①日付・ページ、タイトル・項目、問題番号
位置を決めておきます。

②学習課題(めあて)・問題

③予想、考え(自分・友だち)
自分の考えを言葉や図で表し、考えの根拠を示します。「自分の考え」だけでなく、「友達の考え」を書くことで、自分の考えと比べます。「分かったこと」と「考えたこと」は、分けて書きます。

④結果やまとめ、感想(振り返り)
わかったことだけでなく、気づいたことや役に立った友達の考えなどを記入し、復習につながるようにします。
・今日の授業でとても大切だと思った考え方
・授業では扱われなかった考え方
・今までの学習との関わり
・他の教科や日常との関わり
・さらに追求してみたいこと
・わからないことへの質問

⑤適用問題・練習問題
練習問題を活用して、学習したことを確かめます。
学習内容の定着が図られるようにします。

⑥その他必要な内容
先生の言った印象に残ったことや意気込みなどを書き残すことで、授業シーンが記憶に残りやすくなります。

【書き方】
■見開き
原則、見開き2ページを1時間の学習に当てると学びの足跡がわかりやすいものになります。記述内容が少なくても余白は残しておき、後から加筆するスペースとします。

■ゆったりとした間
横:指2本分  縦:1〜2行

■文字
数字や文字は1マス1字で丁寧に、太く、濃く、大きく書かせます。
(大きく、濃く書かないと、印刷したとき見えない)

■囲い
解き方や考え方などのまとめの文章は、線で囲みます。

■色の使い方
大切な語句は色を変えます。色チョークの使用と関連させ、赤鉛筆や色ペンの使い方を指導します。
※ 使い方の指導(基本→活用)が必要です

■フリーハンドと線の引き方
下の学年の場合は定規を使う練習を行いますが、学年が上がるにつれてフリーハンドを意識します。図を素早く正確にかけることが問題を解く力に繋がります。特に曲線をかく際、何回もなぞることはせず、多少歪んでも一気にかくことを意識します。

■思考過程は残す
どこで間違えたかがわかるように、思考の過程(補助計算など)も大きく書き残します。間違いは消しゴムを使わず、赤で書き直したり解き直したりするようにすれば、後で見直す必要のあるものが一目で分かります。

教師が意識すること

■学習用具の準備
ノート指導を充実させるためには、授業で必要な学習用具を一人一人の子どもにきちんと用意させることが大切です。
また、ノートは「方眼ノート」を使わせることで
・余白が綺麗十分に取れる
・行頭・段落が美しく揃う
・行間をバランスよく取れる
・文字サイズを調節できる
・読みやすい文字が書ける
・図表を描くの簡単
・正確なグラフが書ける
・ロジカルな図解も簡単に配置できる
などの利点があります。

■板書との関連を重視(板書技術の向上)
板書をていねいに写すことを基本としてきちんと指導し、その後で自分なりに工夫させます。要点が整理された構造的な板書が求められます。
例) 番号や記号、矢印、囲みや線、自分なりのマーク、つぶやきやコメント 等

■説明モデルの提示
図と式を使った説明の仕方を掲示したり、前時のホワイトボードを見せたりすることで、ノート記述のモデルにします。

■集中してノートへ書かせる
書く時間を確保し、書いている途中に発問や説明、指示をしないようにします。
子どもたちがノートを書いている時は、その様子をじっくりと観察します。いくつかの子どもの困りポイントが見つかります。
小学校でのノート指導のポイント

■指示
子どもによって書くスピードが異なります。一人一人の学習状況を把握し、差が大きくならないように適切に指導することが大切です。
 書くのが早い:次の学習準備をさせる 等
 書くのが遅い:書き始めが遅れないように促す 等

■ノートを見直す習慣づくり
「前のノートを確認してみましょう。」と教師が促すことで、 子どもは「ノートを見ればいいんだ。」「ちゃんと書きとめよう。」と思うようになります。子どもが振り返ることができるような書き方を意識します。振り返らせることで、自力解決の手がかりを見つけることができます。
学習したことを、インデックスをつけたり、綴じてまとめたりすることで、既習事項を活用することができます。

■ノート点検と評価
定期的にノートを回収し、子どもとの「対話」(助言と励まし)の場とします。単元テスト前にノートを集め、評定すると良いでしょう。毎時間の細やかな机間指導により、ノート指導を充実させます。(授業評価・子ども評価)
例) 考えに対する助言、ノートの使い方、学習に取り組む態度や姿勢等に対する助言や励まし

ノートの取り方の上手な例(見本)を紹介

ICT機器を活用して子どもたちのノートを紹介したり、学級便りで紹介したり、学級にコピーを掲示したりして、意欲の向上を図ります。吹き出し等に教師のコメントを書き入れます。

・ノート展示会
教室や廊下などに、工夫して学習しているノートを展示し、友だちのノートを見ることができるようにすることにより、子どもが書き方の良さなどを確認して、自分のノートの書き方を見直すことができるようにします。

教師のノートと板書計画

本時のねらいを明らかにし、授業の流れや子どもたちの考えを思い描きながら、見開きにまとめたノートを作ることは、教材を分析・研究する力になります。
振り返りに書かせたい言葉を書くことで、どのような授業を展開すれば良いか見通しがもてます。
指導のポイントを書いたり、授業後に改善点や授業の振り返りを書き加えたりすることで、指導のポイントが明確になります。
教師の構想ノート→板書計画→子どものノート
小学校でのノート指導のポイント

ノート分析

ノートを分析することで、子どもの変容と指導の手立てを明らかにします。

<分析の仕方>
・子どものノートは、学習後に後に毎時間回収します。(1単元分析)
・画用紙に抽出児のノートを貼り、余白に日付、本時の狙い、抽出児の学習の様子や変容などを書き入れていきます。
・子どもの様子を基に、その点の教師の支援はどうだったのか、その結果どのように変容したのか、今後の指導の重点は何かについて話し合います。
・教師のノート、板書、子どものノートの3点による授業分析ができるようになります。

計画的なノート指導

ノート指導に当たっては、1年間の指導計画を明らかにするとともに、共通項目を整理して示すなど、全校で組織的に取り組めるようにすることが大切です。
そのために、「学習の手引」等を活用し、各学年・各教科で系統性のあるノート指導を行うことや継続してノート点検を行うことなどが考えられます。

<チェックリスト例>
・定期的なノート点検
・マスの大きさや行の幅などノート指定
・日付、課題、問題、予想、考え、まとめなど共通項目を徹底
・定規指導
・姿勢や鉛筆の持ち方指導

<計画手順例>
ノートの点検は年間を通して計画的・継続的に行い、整理されたノートが習慣として身につくようにすることが大切です。その際、良い点と改善点を具体的に伝えるようにします。(文字の正しさ、丁寧さ、既習漢字の使用、約束事項など)
新学期の学習活動や各教科のオリエンテーションの時間にノート指導を位置付け、書き方について全校で指導することが大切です。

・「学習の手引」によって、ノートの書き方を説明
望ましいノートの書き方を子どもや保護者に周知するため、「学習の手引」にノートの書き方を示し、学級活動や保護者懇親会で説明します。

・教師が正しいノートの取り方を提示
実際に教師がノートに記入す様子を実物投影機等を用いて、子どもに示します。鉛筆の持ち方、マスの使い方、線の引き方等を丁寧に指導します。

・子どものノートを授業で活用
・子どものノートを実物投影機を活用して、教室全体に見せながら説明させるなど、お互いのノートのよさに気付くようにします。

ワークシート

目的に応じてワークシートを使うこともあります。メリット・デメリットを理解した上で使い分けましょう。
<メリット>
・記述、整理、図を書くことの苦手な子どもにとっては、それなりのまとめができ、学びの足跡が1枚に完成できたという達成感が得られる。
・問題を記述する時間が短縮され、考える時間が十分に確保される。
・発展問題や類題をレイアウトしたり、子どもによる選択課題を設定したりして、個別支援のためのコーナーを意図的に用意できる。
・練習問題を通して教え合い学習を設定したり、学び直しの機会を設けたりした際、それぞれの取り組みの様子を確認しやすい。
・ノートを忘れたため、別のノートやレポート用紙に書くことがない。

<デメリット>
・子どもの独自性が失われる恐れがある。
・主体的なノートづくりをせず、安易な取り組みに陥りやすくなる。

まとめ

子どものノートづくりの基本は教師の板書です。事前にしっかり計画しましょう。また、教師の励ましと友だちからの称賛は、子どもの書く意欲を高めます。ノートを集めて朱書きを入れたり、児童間でノートを見せ合い、それぞれのよさを共有化させたりすることも、ノート指導をする上で有効な手立てでしょう。
小学校でのノート指導のポイント

参考

学習内容の確実な定着を図るノート指導の充実(北海道立教育研究所)
思考過程がわかるノート指導(滋賀県総合教育センター)