なぜ算数を学ぶのか

「なぜ算数を学ぶのか」

この質問を任地の先生にすると以下のような答えが返ってきます。
・買い物をするときに計算ができなかったら困る。
・2つの数値を比べてどちらが大きいのかわからないと困る。
それだけなのでしょうか。

学習指導要領算数科の目標

算数的活動を通して,数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え,表現する能力を育てるとともに,算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てる。
つまり以下のように分けられるのではないでしょうか。
知識・技能(実用性)
数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・技能は,生活や学習の基盤となるものです。また,科学技術の進展などの中で,理数教育の国際的な通用性が一層問われています。このため,数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図る観点から,算数・数学の内容の系統性を重視しつつ,学年間や学校段階間で内容の一部を重複させて,発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による教育課程を編成できるようにします。

思考力・表現力(陶冶性)
数学的な思考力・表現力は,合理的,論理的に考えを進めるとともに,互いの知的なコミュニケーションを図るために重要な役割を果たすものです。このため,数学的な思考力・表現力を育成するための指導内容や活動を具体的に示すようにします。特に,根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えることや,言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを適切に用いて問題を解決したり,自分の考えを分かりやすく説明したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりすることなどの指導を充実します。

関心・意欲・態度(文化性)
子どもたちが算数・数学を学ぶ意欲を高めたり,学ぶことの意義や有用性を実感したりできるようにすることが重要です。そのために、
・ 数量や図形の意味を理解する上で基盤となる素地的な学習活動を取り入れて,数量や図形の意味を実感的に理解できるようにすること
・ 発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による教育課程により,理解の広がりや深まりなど学習の進歩が感じられるようにすること
・ 学習し身に付けたものを,日常生活や他教科等の学習,より進んだ算数・数学の学習へ活用していくこと
を重視します。

✳︎その中でも陶冶性(人間形成)が中心。

生活基盤としての算数・数学(実用性)

数と図形と言語は社会生活を営む基盤として必須なものです。数の四則演算の習得の必要性はいうまでもなく、数と図形に関する学習は豊かな日常生活を送る上で不可欠なものです。小学校の「算数」と「国語」は社会生活をおくる上で必要な最低限の知識を保証する役割を果たす必要があります。

Mathematics is the language with which God has written the universe.

今日の科学技術文明では、多くのものが数値化されて表示されます。その意味を数量的に的確に把握する数量感覚が現在は特に必要となっています。例えば、電卓が自由が使えるには加減乗除や小数の意味、指数表示の意味が分かっている必要があり、ものの量を扱う場合はその単位系を理解しておく必要があります。

さらに、数学は単に社会生活をおくる上で基本となるものだけでなく、多くの学問を記述する言語として重要な役割を果たしています。「自然は数学の言葉で書かれている」というガリレオ・ガリレイの言葉が有名です。今日では、自然科学や工学のみならず、社会科学や人文科学でも数学を必要とする学問分野が多くなっています。世界は数理で語られています。このような「言葉としての数学」に習熟することは、学校で他の教科を理解し、さらに進んで種々の学問を理解するために必要となってきます。小学校から大学初年度までの数学の学習は、こうした「言葉としての数学」を習得するプロセスとしての側面を備えています。

論理的思考力の育成(陶冶性)

算数・数学の問題を解く過程では、様々な試行錯誤が必要とされます。その際、面白いアイデアは必ずしも論理的な考えから出てくるわけではありませんが、アイデアを元に問題を解決していく過程は論理的な思考が重要です。また、得られた解答を論理的に説明することによって万人が理解できるようになります。他者とのコミュニケーションは言葉と論理に基づいていますが、その基礎は算数・数学の学習を通して身につけることができます。学び楽しみを算数教育はもっと重視すべきです。

文化としての算数・数学(文化性)

数学の美しさを体験することも数学の学習では必要です。
算数・数学は問題を自ら考え自らの力で解いたときの楽しさを味わうのに最適な教科の一つです。

最後に

国語が人と人をつなぐものに対し、算数は人と物をつなぎます。数、量、図形などを用いて、ものの特徴を知ることができます。通常の算数の授業では、算数のもつ重要性や意義をあまり意識することなく教科書に沿って授業を行いますが、時には子どもたちと算数を学ぶ意義を考えてみても良いでしょう。

数学教育小委員会
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なぜ算数を学ぶの?(夢ナビ)
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