第5号報告書

報告書要約

教師や児童の学力などが圧倒的に足りていない現状から、グアテマラに合った指導法を実際の授業を通して模索し、習得型授業が適しているという結論を得た。次に、教師の学力に依存しない授業システムの構築を模索した。映像授業の問題点を踏まえ、授業での電子教材を利用と机間指導と合わせることで、前年度の単元テスト結果と比べて約40点向上した。教えるべきことを教える状態を整え、個別指導・机間指導をしっかりと行えば、学力は向上する。また、パイロット校全体では昨年度と比べて平均17.2点学力テストの結果が向上した。
当初要請内容から巡回型に変更して取り組んだ。CPは忙しく一緒に仕事をする機会は少なかったが、キチェ県教育事務所配属という利点は大きく、自由度が高く活動しやすい配属先であった。後任の活動も期待する。
修正改善を繰り返して完成させた全学年全単元分のテストは今後現地教員や他の算数隊員に活用してもらいたい。
人生の目標を世界の教育改革と掲げる私にとって、発展途上国の実際の教育現場に入り、多くの問題を深く知ることのできたこの2年間は非常に有益な経験となった。また、グアテマラから見習うべきこともたくさん学べ、異なる文化を知り、多くの友人をつくり、たくさん考えたグアテマラでの生活は私の人生を豊かなものにしてくれた。
帰国後は所属小学校やホームページを通して還元・情報発信を行い、帰国後の教員生活を精進することで、世界の教育を良くすることに貢献していきたい。

活動結果

授業時数や教師の学力・指導力などが圧倒的に足りていないグアテマラでは、授業研究のような仕組みは大切であるが、一定レベルまで引き上げてから出ないと根本的な教育改革にはならないと考える。そこで、実際に授業を行うことを通してグアテマラに合った指導法の模索した。国定教科書に沿った問題解決型授業、協同型授業、習得型授業などを試し、児童のレディネスが圧倒的に不足しているグアテマラにおいては机間指導を重視した習得型授業が適しているという結論を得た。次に、教師に必要知識が足りない状態でも、児童が全ての学習範囲学べるような授業システムの構築を模索した。教材研究の自動化のために当初考えた映像授業の問題点を踏まえ、電子教材を利用した授業を導入した。教え漏れが無くなり、板書・ノートの時間も効率化でき、机間指導と合わせることで、前年度の単元テスト結果と比べて約40点向上した。教えるべき教材を作り込むことで、知識が足りない教師も教えるべき内容を確実に教えられる状況を整え、個別指導・机間指導をしっかりとした状態ならば、学力は向上する。また、パイロット校全体では昨年度と比べて平均17.2点学力テストの結果が向上した。

要請の妥当性

当初の要請内容は、勤務型の出会ったが、実際の教育現場を知り、その問題点や解決方法を見出すためにパイロット4校を決め、巡回型の活動とした。CPとなる人物は他の仕事で忙しく、会議や出張などで事務所でも席を外していることの方が多い。専任のCPがいる環境と比べて、一緒に進めていくということは難しいかもしれない。一方で、ボランティア意思で自由に動くことができ、やりたいことは協力的に支援はしてもらえる。大きなイベントについては情報が入ってくる。また、県教育事務所のため教育関係で多くのつながりを持っている。他の市で活動することもあったし、希望すればどの学校でも行かせてもらえるだろう。自主的に活動できるボランティアには活動しやすい配属先と言える。今後は後任隊員次第で他市への巡回研修や、大学の教員養成課程に対する活動なども考えられる。

活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性

単元テストを全学年全単元分作成した。現状は4半期ごとにテストが行われてるが、クラス毎に内容が異なり、出題範囲に偏りがある。勝利的に全単元を学習させることや、指導と評価の一体化、指導方法の評価などを踏まえると、初等教育では日本のように単元ごとにテストを行う方が望ましいと考える。実際のクラスで使うことを通して、難易度や表現を調整したり、採点をしやすいように何度も作り直したりした。このデータはグアテマラ人教員に配布したり、ホームページに公開したりして周知し、後任隊員にも活用していただきたい。電子教材については、一部の単元にしか作れていないので、教育資料と合わせて後任に託したり、日本で継続的に開発を進めたりしていきたい。教員養成過程で教えるべき教育理論については、日本でも引き続き整え、ホームページなどで公開していきたい。
キチェ県の学力はまだまだ低い状況であり、私自身が他市の教員向けの大規模研修会あまり行えなかった。配属先も後任を希望しているので、今後も支援をお願いしたい。

ボランティア経験について

私の人生の目標は、教育改革である。実際に現場を知らないと、机上の空論となってしまうので、発展途上国の教育現場に実際に入らないと見えてこないものなど、深く知る経験ができたことは非常に有益な経験となった。教員の学力不足の深刻さや、教育行政の問題点など、それまで考えていなかった問題が具体化できた。今後の情報技術の発展も考慮し、教師の能力に大きく依存せず、どの地域でも質の高い授業を行える仕組みを提案していきたい。また、今回ボランティアという立場ゆえ、邪魔にならない・嫌がらない活動を意識して行ってきた。将来、発展途上国で学校の創設または学校運営の指揮をとり、会議や休憩などの文化なども含め教育の抜本的な改善例を示したい。
グアテマラ教育には課題も多かったが、日本人が見習うべき部分も多くみられた。家族や友人との関わり方やワークライフバランスなど、おおらかで人との関わりを大切にするグアテマラ人の物事の考え方は、直近の日本での教育や家族との関わりにも活かせそうである。大きく異なる文化の知れる中、多くの友人をつくり、たくさん考える時間があったグアテマラでの生活は私の人生を豊かなものとしてくれたと言える。

帰国後ボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画

・所属小学校での講話 東京オリンピックを控え、国際教育の需要も高まってきている。直近では所属校においてグアテマラ等での経験を話したり、異文化を紹介したりすることで、日本の児童や教師、保護者に還元していきたい。
・ホームページでの情報発信 教育活動やグアテマラ情報について、自身のホームページに整理して公開することで、日本人またスペイン語圏相手に自身が培った知見を共有していきたい。
・自身授業へのシステム導入及び授業研究 日本では「主体的協同的で深い学びの授業」が新学習指導要領の柱となっている。グアテマラでの経験をもとに、低学力児童の引き上げと学び合いのある授業をICT機器を活用して展開し、学力向上の成果をあげていきたい。また、東京都の教育研究員となり、授業研究などを通して指導に成果を出し、結果を周知したい。
・世界の教育への還元 グアテマラで得た知見や課題点を、日本の教育現場で昇華させる。その結果を還元することで世界の教育に貢献できるよう、今後の教員生活を精進していきたい。

JICAへの要望・提案

何度か相談していますが、国定教科書には無数の小さな間違いといくつかの致命的な間違い、問題量・内容が適していないなど多くの問題が未だに存在します。私たちボランティアの活動の要となる国定教科書が教師に不評であり、現状のレベルであるのが非常に心苦しいです。JICAの手を離れたからといって、毎年莫大なお金が使われてい教科書なので、なんとか改訂いただけるよう働きかけていただきたいです。