ラピュタの呪文(おまじない)の意味

リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリールの意味

映画「天空の城ラピュタ」の中でシータがおばあさんから教えてもらった、「我を助けよ、光よよみがえれ」という意味で説明されている呪文(おまじない)。

各言語では以下のようになっています。

日本語版:リテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール
英語版:Leete Latobarita Uruth Ariaroth Bal Netoreel.
スペイン語版:Lite Latobarita Ulsu, Aliaros Bal Netoriil.
ドイツ語版:Rite ratuba rita urus, area rosubaru netoriru.
中国語版:里特・拉多巴里達・烏魯蘇・亞里亞洛蘇・巴魯・奈多利路.

架空の言語「ラピュタ語」のため意味がわかりませんが、「THE ART OF LAPUTA」の最後に、「シナリオ準備稿」というものがあり、そこには映画にはラピュタ語に日本語訳がついています。

<一覧>
リテ・ラトバリタ・ウルス アリアロス・バル・ネトリール
意味:「我を助けよ、つわものよ来たれ」
(ラピュタの封印を解く言葉。映画中の説明と若干違いあり)

バルス
意味:「閉じよ」
(映画中には説明無し。滅びの言葉)

レヂアチオ・ルント・リッナ
意味:「ものみな鎮まれ」
(映画中には未登場。ラピュタを包む嵐を鎮め、雲を晴らす言葉)

シス・テアル・ロト・リーフェリン
意味:「失せしもの汝、姿を現わせ」
(映画中には未登場。ラピュタを包む嵐を鎮め、雲を晴らす言葉)

また、映画中でも以下のラピュタ語が説明されています。
・シータの本名は「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ

・ムスカの本名は「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ

・「トゥエル」が「」(THE ART OF LAPUTA中では「正当な継承者」)

・「ウル」が「

を意味します。シータもムスカも「ウル」なので、ラピュタ語は男性・女性で名詞が変化しないことが伺えます。「トエル(真)」が前から「ウル(王)」を修飾しています。

リテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリールの考察

ラピュタ語の単語には、「バルバルス(閉じよ)」、「ウル(王)とウルス」があります。この関係をどう捉えるかがポイントとなるでしょう。語尾の「ス」を動詞の語尾として解釈したり、語頭の「b」が否定を表すと解釈したり、否定の語尾として解釈したりできます。
ラピュタの呪文(おまじない)の意味
(「天空の城ラピュタ」より引用)

まず、リーテ・ラトバリタ・ウルスが「我を助けよ」、
アリアロス・バル・ネトリールが「光よよみがえれ(つわものよ来たれ)」と仮定します。
何語が元かはわかりませんが、よく使う単語はラピュタ語でも長い綴りには なりにくいと考えます。今回言語の語順別に考えて見ました。

<OVS型の言語として解釈>
否定の語尾として解釈しました。
「バル」は閉じる(バルス)の反対で「開く・動く」とします。
「ウルス」はウル(王)の反対で「王でない者」としました。
「バルス」という言葉からも、命令するときに人称代名詞は使わないことが多いでしょう。

 リテ:私を(目的語)
 ラトバリタ:救けよ(述語)
 ウルス:王で無い者(主語)

 アリアロス:再び(修飾語)
 バル:開く・動く(述語)
 ネトリール:光・つわもの(主語)

<SVO型の言語として解釈>
「バルス」と「バル」の関係から、「バル」を光とします。
「トエル」という単語は英語のtrueと似ていることや、文法的にSVOのスタイルをとるゲルマン系の言語と推測しました。

 リテ:私(主語)
 ラトバリタ:請う(述語)
 ウルス:救け(目的語)

 アリアロス:そして(接続語)
 バル:光(主語)
 ネトリール:よみがえれ(述語)

<SOV型の言語として解釈>
世界の言語で最も多い語順で、多くの楔形文字と同じ語順です。宮崎駿監督が使う日本語とも同じ語順です。準備稿の意味の方を採用してみました。トエル・ウル(真の王)のように前から名詞を修飾しました。

 リテ:あなた(主語・独立語)
 ラトバリタ:我を(目的語)
 ウルス:救けよ(述語)

 アリアロス:つわものの(修飾語)
 バル:光(主語)
 ネトリール:来たれ(述語)

✳︎どれも個人の見解です

バルス(Balus)の元ネタ

ラピュタに登場するもう1つの呪文で、世間で最も有名な滅びの呪文バルス。トルコ語で「平和(barış)」を意味するなど語源については諸説ありますが、漫画編集家の竹熊健太郎氏が以下のように紹介しています。

竹熊さんがちょうどラピュタ制作途中の宮崎駿にインタビューしたらマッドメンについて2時間喋りっぱなしだったらしい(引用インスタグラム

私の友人にも漫画家や小説家がいますが、彼らをよく知っているので、彼らの作品中に登場するものがなぜ生まれたのかが読み取れました。作者がどんな作品や事象に影響を受けたのかをたどっていけば、難解なストーリーを解釈するうえでのヒントになりそうですね。

各国での「バルス」の違い

ラテンスペイン語版では、バルス(Balus)を
 「バルモス(¡Balmos!)」とシータとパズーが叫んでいます。
スペイン語で語尾がsは二人称単数の活用なので、1人称複数を表すmosの形に変えたのでしょう。
ちなみに、ドイツ語版では「Bais!」なようです

ラピュタの呪文(おまじない)の意味
ドイツでStrangerより引用)

La putaがスペイン語で「売春婦」を意味することから、タイトルにラピュタは使わず、天空の城(西語:Castillo en el cielo)と変更されています。同じスペイン語でもカスティジャーノ(欧州)版とラティーノ(中南米)版でも異なります。各言語での違いを楽しむのも面白いでしょう。

まとめ

  • 「リーテ・ラトバリタ・ウルス アリアロス・バル・ネトリール」の解釈には諸説あり
  • THE ART OF LAPUTAに制作前情報あり(バルス=閉じよ 等)
  • 「バルス」等は諸星大二郎「マッドメン」に影響された可能性が高い
  • 各国の言語バージョンで呪文は若干違う

日本では今週の金曜ロードショーで「天空の城ラピュタ」が放送されるようですが、背景知識を持って見るとより楽しめるでしょう。自分の好きなもののルーツや他国への影響を探ってみてはいかがでしょうか?

<参考>
(トップ画像はカンボジアのアンコール遺跡群の1つ「タ・プローム」)
ラピュタの全セリフ集
Das Schloss im Himmel(ラピュタ独語版)
Le château dans le ciel(ラピュタ仏語版)
楔形文字 楔形文字のシュメール語
バルスの元ネタ(Virates)