ノルウェーをあとに
ベルゲンでの滞在を終え、いよいよ今回の北欧旅行で最後に巡る国、アイスランドへ向かいます。
スウェーデンから始まり、ノルウェーのフィヨルドや山々を巡ってきた今回の旅。次に待っているのは、火山と氷河がつくり出した、これまでとはまったく異なる風景です。
アイスランドは、私にとって訪問99か国目となる国でもあります。
飛行機はベルゲン空港を出発し、北大西洋を越えてケプラヴィーク国際空港へ。約2時間のフライトで到着しました。
ケプラヴィーク国際空港に到着
飛行機を降りて最初に感じたのは、ひんやりとした空気でした。
8月とは思えないほど涼しく、これまで巡ってきた北欧諸国とも少し違う気候を感じます。
今回のアイスランド旅行では、4日間レンタカーを借りて南部を中心に巡ります。
アイスランドには、公共交通機関だけでは行きにくい絶景スポットが数多くあります。限られた日程で自由に回るには、レンタカーが最も便利な移動手段です。空港で受付を済ませ、車に荷物を積み込み、給油満タンのはずの車が満タンでないというトラブルがありましたが出発です。
火山の国を走る
空港を離れると、目の前には火山活動によってつくられた大地が広がっていました。
黒い溶岩原の中を、一本の道路が真っすぐに伸びています。周囲には高い建物も大きな木もほとんどなく、日本ではなかなか見ることのできない風景が続きます。
「地球の上を走っている」というよりも、まるで別の惑星を走っているような感覚でした。
アイスランドでは、目的地だけでなく、そこへ向かう途中の景色も大きな見どころです。車を走らせているだけで周囲の風景が少しずつ変わっていき、移動時間そのものが観光の一部になっていました。
南海岸のドライブを開始
アイスランドは物価が高いため、今回の旅行ではスーパーで購入したものを中心に食べ、できるだけ食費を抑えながら旅をすることにします。
初日止まった宿のある南部の町セルフォスを出発し、アイスランド南海岸を東へ進み始めました。
この日の目的地は、はるか東にあるヘプン周辺です。途中に点在する滝や海岸を巡りながら、景色を楽しんで進んでいきます。
まず訪れたのは、セリャラントスフォスです。
細長い滝が切り立った崖から流れ落ちており、滝の裏側まで歩いて回ることができます。水しぶきを浴びながら滝の裏へ進むと、水のカーテン越しにアイスランドの大地が見えました。
続いて訪れたのは、スコゥガフォスです。
こちらは幅が広く、水量も多い迫力のある滝でした。崖の上から一気に流れ落ちる水を間近で見ると、自然の力強さを感じます。どちらも有名な滝ですが、細く優雅なセリャラントスフォスと、力強く豪快なスコゥガフォスでは、まったく異なる魅力がありました。
柱状節理が広がる黒砂海岸
二つの滝を巡ったあとは、アイスランド南部のヴィーク近郊にある「レイニスフィヤラ・ブラックサンドビーチ」へ向かいました。
海岸一面に広がっているのは、火山活動によって生まれた真っ黒な砂です。背後の崖には、六角形の石柱が規則正しく並ぶ「柱状節理」が広がっていました。
人工的に積み上げたようにも見えますが、これは溶岩が冷えて固まる過程で自然につくられたものです。黒い砂浜、幾何学的な岩壁、海から突き出した奇岩が組み合わさり、アイスランドらしい荒々しい景色が広がっていました。
その後、ヴィーク周辺で食事を取り、長距離ドライブに備えてひと休みしました。
ヴィークを離れると、建物や集落は次第に少なくなっていきます。ここから先は、目的地と目的地の間を何十キロも走り続けるような道が増えていきました。
それでも、退屈することはありません。
車窓から見える景色が、次々と違う表情を見せてくれるからです。
さらに東へ進むと、遠くの山の間に白く巨大なものが見えてきました。氷河です。
ヨークルスアゥルロゥン氷河湖へ
そして、今回のアイスランド旅行で特に楽しみにしていた、ヨークルスアゥルロゥン氷河湖に到着しました。目の前に広がっていたのは、大きな氷の塊がいくつも浮かぶ、想像を超えた景色でした。
氷河から崩れ落ちた氷が湖の中をゆっくりと漂っています。青く透き通った氷、白く輝く氷、火山灰の黒い模様が残る氷など、同じ氷でも一つひとつ表情が異なっていました。
これほど大きな氷が、当たり前のようにゴロゴロと浮かんでいるとは想像していませんでした。
これまでの旅行で数多くの絶景を見てきましたが、この氷河湖の風景はその中でも特に衝撃的でした。氷河の近くへ行くと、周囲の空気が明らかにひんやりとしています。目で見るだけでなく、肌で冷気を感じることで、巨大な氷河がすぐ近くにあることを実感できました。
湖ではアザラシの姿も見ることができました。巨大な氷の間を泳ぐ姿は、この場所ならではの光景です。
黒い砂浜に輝く氷
氷河湖の水は、細い水路を通って海へと流れていきます。
その途中で海へ運ばれた氷の一部が、波によって黒い砂浜へ打ち上げられます。その場所が、ダイヤモンドビーチです。真っ黒な砂浜に、透明な氷の塊がいくつも転がっていました。
波を受けて磨かれた氷が光を反射する姿は、砂浜に散らばった宝石のようです。「ダイヤモンドビーチ」という名前が付けられた理由も、実際に景色を見るとよく分かりました。氷河湖とダイヤモンドビーチはすぐ近くにありますが、湖に浮かぶ氷と、黒い砂浜に打ち上げられた氷では、まったく違う景色に見えました。
大自然の中のファームステイ
この日は、ヘプン近郊にあるファームステイに宿泊しました。
周囲には大きな町や観光施設などはなく、見渡す限りアイスランドの自然が広がっています。
長い距離を運転した一日でしたが、宿の周辺から見える景色も素晴らしく、静かな環境でゆっくりと過ごすことができました。都市部のホテルとは違い、周囲に何もないこと自体が魅力です。
夜にはオーロラが見られる可能性もありましたが、この日は雲が多く、残念ながら見ることはできませんでした。
さらに東へ
翌日は、ファームステイを拠点に、前日よりもさらに東へ足を延ばしました。
まず向かったのは、ヴァイキングをテーマにした集落がある場所です。天気が悪かったため有料エリアの中には入りませんでしたが、周辺には荒涼とした山々と海が広がり、ヴァイキングの世界を思わせる雰囲気がありました。
その後はヘプン周辺の港や海岸を巡り、さらに東へ進みます。
この日の目的地の一つが、デューピヴォーグルという小さな港町です。
海辺に並ぶ巨大な卵
デューピヴォーグルの海沿いには、「エッギン・イ・グレディヴィーク」と呼ばれる巨大な卵のオブジェが並んでいます。
港に生息する鳥たちの卵をかたどった作品で、それぞれ形や大きさが少しずつ異なっていました。
静かな港町の海辺に、大きな卵がずらりと並ぶ光景はどこか不思議です。壮大な滝や氷河とは違いますが、アイスランド東部らしい静けさと、少し変わった面白さを感じられる場所でした。
この日は天気が悪い時間も多く、山々は雲に覆われていました。しかし、霧や低い雲によって、周囲の景色がより幻想的に見える瞬間もありました。
世界の果てで迎える夜
アイスランド南海岸を東へ進むにつれて、町や建物は少なくなり、周囲には荒々しい自然だけが残っていきました。火山によってつくられた黒い大地、緑に覆われた山々、果てしなく続く石の川原、霧の中に消えていく道、そして巨大な氷河。
一つの国を走っているとは思えないほど、景色は次々と姿を変えていきます。
特に、ヨークルスアゥルロゥン氷河湖で見た巨大な氷と、雲に包まれた「あの世」のような風景は、強く記憶に残りました。この日も大自然に囲まれたファームステイに宿泊します。
翌日からは、これまで走ってきた道を南西方向へ戻りながら、渓谷や海岸を巡ります。
アイスランド旅行は、後半へと続きます。

