【アイスランド旅行・後編】パフィンとの出会いとゴールデンサークル

南西へ戻る

アイスランド東部まで足を延ばした翌日、これまで走ってきた道を引き返し、南西方向へ戻り始めました。往路と同じ道を走りますが、進む方向や天候が変わると、景色も違って見えます。

荒々しい火山地帯、緑に覆われた山々、どこまでも続く石だらけの川原。低い雲が山にかかると、周囲は再び「あの世」のような幻想的な風景に変わりました。

アイスランドでは、目的地だけでなく、移動中に眺める景色そのものが大きな見どころです。同じ道を戻るドライブでも、飽きることはありませんでした。

フャズラオルグリューフル渓谷

帰り道に立ち寄ったのが、フャズラオルグリューフル渓谷です。
長い年月をかけて川の流れが岩を削り、深く切れ込んだ渓谷がつくられています。

駐車場から遊歩道を歩き、いくつかの展望地点から渓谷を眺めました。本格的な登山というほどではなく、比較的気軽に楽しめるハイキングです。

切り立った岩壁の間を川が流れ、その周囲は鮮やかな緑に覆われていました。前日に見た氷河や黒い砂浜とは異なる、柔らかく美しいアイスランドの風景です。

野生のパフィンに出会う

続いて、海沿いの断崖へ向かいました。
ここでの目的は、アイスランドを代表する鳥・パフィンを見ることです。

断崖の近くを探していると、草地や岩場に小さなパフィンの姿がありました。黒と白の体に、鮮やかな色のくちばし。少し不器用そうに歩く姿がとてもかわいらしく、しばらく夢中になって観察しました。

パフィンは海の上で生活する期間が長く、陸上で見られるのは主に繁殖期です。その姿を野生の状態で間近に見ることができたのは、今回の旅でも特に印象に残る体験となりました。

最後のオーロラチャレンジ

この日の夜も、オーロラを見るチャンスをうかがいました。
アイスランド滞在中は3日間ほど観察できる可能性がありましたが、雲が多かったり、オーロラの活動を示すKP値が低かったりして、地上からは見ることができませんでした。

雲の切れ間を探して移動することも考えましたが、天候には勝てません。アイスランドで見る満天のオーロラを期待していただけに、これは今回の旅で少し心残りとなったところです。

ゴールデンサークルへ

アイスランド最終日は、代表的な観光ルートであるゴールデンサークルを巡りました。
最初に向かったのは、グトルフォスです。

大量の水が大地の裂け目へ吸い込まれるように流れ落ちていました。近づくと水しぶきが舞い上がり、流れ落ちる水の音が周囲に響きます。
前編で訪れたセリャラントスフォスやスコゥガフォスとは、また違った迫力を持つ滝でした。

地面から噴き上がる間欠泉

続いて訪れたのは、ゲイシール地熱地帯です。
周辺では地面から白い蒸気が上がり、あちこちで熱湯が湧き出しています。その中でも、多くの観光客が待っていたのがストロックル間欠泉です。
しばらく眺めていると、水面が大きく膨らみ、次の瞬間、熱湯が勢いよく空へ噴き上がりました。

噴出する瞬間はあっという間です。いつ噴き出すのか分からないため、カメラを構えながら待つ時間も含めて楽しめました。地下に蓄えられた熱と圧力が一気に解放される光景を見て、アイスランドが現在も活動を続ける火山の島であることを実感しました。

念願だった大地の裂け目

次に訪れたのは、以前から行ってみたかったシンクヴェトリル国立公園です。
ここは、北米プレートとユーラシアプレートが離れていく境界に位置しています。二つの大陸プレートの間を歩ける場所として知られ、世界遺産にも登録されています。

私は以前から、この「大地の裂け目」を実際に見てみたいと思っていました。
ところが、どうやら「大地の裂け目」と「巨大な渓谷」を少し混同し、自分の中で壮大なイメージをつくり上げていたようです。

もちろん、実際に見ても規模の大きな場所です。しかし、「大地が真っ二つに割れたような景色」を想像して期待値を上げすぎていたため、少し拍子抜けしてしまったというのが正直な感想でした。それでも、二つの大陸プレートの境界に立っていると考えると、地質学的には非常に興味深い場所です。

また、シンクヴェトリルは930年に世界最古級の議会が開かれた場所でもあります。自然だけでなく、アイスランドの歴史においても重要な場所でした。

首都レイキャビクを観光

ゴールデンサークルを巡ったあとは、アイスランドの首都レイキャビクへ向かいました。
これまで人の少ない地域を長時間走ってきたため、建物や店が並び、多くの人が歩いているだけでも都会に戻ってきたように感じます。

市内で特に目を引いたのが、ハットルグリムス教会です。

一般的なヨーロッパの教会とはまったく異なる、細長く独特な形をしています。正面に並ぶ柱のような部分は、アイスランド各地で見られる玄武岩の柱状節理を思わせるデザインです。
遠くからでもよく見えるため、レイキャビクの街を象徴する建物となっていました。

パフィンを見た翌日に、パフィンを食べる

レイキャビクでは、アイスランドならではの食文化も体験しました。
選んだのは、パフィンの肉です。

前日には断崖でかわいらしい野生のパフィンを見たばかりだったので、少し複雑な気持ちもありました。それでも、アイスランドで伝統的に食べられてきた料理を実際に味わうことも、現地の文化を知る一つの経験です。

地球が生きている地熱地帯

レイキャビクを離れたあとは、再び火山地帯の中を走りました。

途中で立ち寄ったのが、クリースヴィークにあるセルトゥン地熱地帯です。
地面のあちこちから白い蒸気が上がり、泥や熱湯がぐつぐつと音を立てています。周囲には硫黄のにおいが漂い、黄色や赤褐色に変色した大地が広がっていました。

間欠泉とは違い、こちらでは地面全体から熱が伝わってくるように感じられます。地面のすぐ下で火山活動が続いていることを、目や耳、においで感じられる貴重な場所でした。

旅の最後はブルーラグーン

アイスランド旅行を締めくくる最後の目的地は、ブルーラグーンです。
黒い溶岩台地の中に、乳白色の温泉が広がっています。自然の温泉のように見えますが、近くの地熱発電所から出る温水を利用してつくられた施設です。

湯気の立つ青白いお湯と、その周囲に広がる黒い溶岩の組み合わせは、アイスランドならではの景色でした。ここまでレンタカーで長い距離を走り、滝や渓谷、氷河などを巡ってきました。最後に温かいお湯へ入り、ゆっくりと旅の疲れを癒やします。

大自然を巡るアイスランド旅行の締めくくりにふさわしい時間となりました。

世界の中心から、世界の果てへ

旅の初めは「世界の中心」のように感じたアイスランドも、南海岸を東へ進むほど「世界の果て」のような景色へと変わっていきました。

特に印象に残ったのは、氷河湖に浮かぶ巨大な氷と、霧に包まれた「あの世」のような風景です。地上では見られなかったオーロラも、最後に飛行機の窓からかすかに見ることができました。

訪問99か国目のアイスランドは、絶景に満ちた忘れられない場所となりました。